もう10年以上前の車であり、世間ではこれより2世代も新しい型(VBH)が登場しています。ただ、自分にとっては初めての車種であり、そういう意味では新鮮です。今回はGVF、つまりA-Lineの感想を述べたいと思います。エンジン、AT、足回りの三つについてです。
これ以外の諸々は以下です。
どんな車種
この車種はいろんな意味でスバルがWRC参戦後の面白い物語を持っています。このインプレッサ3世代目のGRGV系のWRX、大まかに分けると以下のようになります。
GR:5ドアハッチバック
GV:4ドアセダン
当初、GVは発売されず、途中から追加販売となっています。アプライドCからです。
xxB:2.0Lターボ 6MT
xxF:2.5Lターボ 5AT
最後が肝心です。GRでもGVでもかなり見た目が違いますが、最後の一文字で更に大きく変化します。今回のGVFは2.5Lターボの5ATです。
ここからインプレッサという名前が表面上は外され、車自体のエンブレムにもありません。ただ、正確にはまだインプレッサWRX STIという車名なので、次のVABへの布石、メーカーの考えだったのでしょうか。ここからWRX系とそうでない普通車の区別化が始まったようです。
ハッチバックとの違い
セダンとハッチバックという形状は全く別物です。使い勝手も違い、荷物を背後から積むと言った作業はやはりハッチバックに分があります。
セダンは150mmほど全長が長くなっています。ということは振り回す乗り方はハッチバック、高速道路のような直進安定性はセダンという性格の違いがありそうです。これはあくまでも仕様から考えたものであり、実際のところはどうなのかはわかりませんが。
GVFはセダンですが、外観より結構荷室は大きいです。開口部がリアバンパー側へ深いため、使い勝手は良好です。リアシートが可倒式なのでトランクスルーなのも便利です。
一つ邪魔なのがリアシート中央席用のシートベルト。これがあるお陰で大きい物が搭載できません。除去しようかなと思いますが車検が通らないはずです。
各部のレビュー
何を求めるかで印象が変わってきます。私にとって好ましいものでも、他の人にとっては不愉快なものかもしれません。以下は個人的に感じたことを連ねています。
エンジン
いろんなパーツの中で重要なものですね。車好きが車を選ぶ際、エンジンが良くないと選択肢に入らないかもしれません。
このエンジンはEJ257というEJ25の最終バージョンに近いものです。シングルターボであり、下のパワー曲線を見てもわかるように回転と共にパワーがリニアに増えていき、6,200rpmあたりまで素直な上昇となっています。
実際に乗ってアクセルを半分程踏むと、ターボが効き始める2,800rpmあたりまでは2.5Lのトルクで出だしは良く、それ以降はターボにより力強いものとなっています。
2L版ターボではパワーやトルクが大きいのと、MTということもあって最高回転付近より中間あたりからパワーがあるほうがいいのでしょう。そういう意味では他のレビューのように、EJ257+ATというのはベストマッチングだと思います。
EJ20ターボについてはまだ乗ったことはありませんが、GVFについて言えばそれほど加速がいいとは感じられません。ただ一つ言えるのは、ベタ踏みで6,000rpm以上回した際の加速フィーリングはドッカンターボでなく、このままどこまでも回転数が上昇し続けるのではと思わせるようなものです。また同時にEJサウンドも5,000rpmあたりから心地よいものとなってきます。
そういう意味ではジェントル、悪い意味ではピーキーではないということです。街乗りも良し、高速道路良しと乗りやすい性格の車です。いい意味で疲れないターボです。昔、スカイラインのターボに同乗させてもらったことがあります。ジャパン(C210)とニューマン(R30)で、L20ETエンジンでしたが、あれはドッカンでした。ターボが効くとリアがグンと下がるのが如何にも加速しているという感じでしたが、疲れました。
面白いですが疲れます(笑)
足回り
街乗りレベルでは固いです。これは単純にスプリングやショックアブソーバーだけのせいではなく、他構成品の方向性だと思いますが、VABの前期型や2000年あたりからのGDBやSGなど、同じような固さとフィーリングです。
ところがそれが一旦高速走行になるとちょうど良い固さです。ストロークはそれほど大きくはありませんが、路面のうねりや凹凸を上手く乗り越えていきます。
この車で感心したことは、段差を乗り越えたときの収まりが早いです。ショックアブソーバーが劣化しているとは言え、高速道路での姿勢の戻りというか安定性は好みです。反対に、低中速での細かい荒れた路面では多少暴れます。これは他の方も指摘しているように欠点です。因みにGVBではこんなことはないそうです。
ショックアブソーバーについては今後入れ替えしたいと予定していますが、これを更新するとどうなるのかは今後の楽しみです。
5AT
このATはレガシィなどを含めてスバルのAT車に広く使われています。故障しやすいというのが一般的な認識であり、よくあるのが2,3速での大きい衝撃。センサー故障だとかバルブの詰まりなどが原因らしいですが、現車は以下のところ何もありません。
昔の純メカ的な制御と違ってマイコン制御されているようで、乗ってATがどんな制御や挙動をしているのかをじっくり見ているとこの味付けがわかってきました。
モード切替というのがあり、Iモード(インテリジェント)、Sモード、S#モードとあります。実はほとんどがSモードで使っていまして、極稀にS#モードです。主に峠やアップダウンが続く山道ですね。
Iモードはアクセルを踏んでもかったるいと言うか、咄嗟の加速ができないのでほぼ普段はつかいません。なるべく早くハイギア側へ変速するような制御です。アクセル制御とパドルシフトでSモードでもIモードのような変速はできるのでこのIモードは使いません。
どの最低速度で変速できるかが以下です。3速以下は特に必要ないので書いてありません。
4速 : 44km/h
5速 : 58km/h
この速度になるとパドルシフトでそのギアにシフトアップ可能です。どういう事かというと、4速で走行していて58km/hになると5速にシフトアップできるということです。通常、アクセルを踏んでいても変速しませんが、シフトアップして回転を落とすことができます。当然ですが無理やり5速にしても坂などで負荷がかかるようだと燃費は悪化します。逆にその速度を下回るとシフトダウンします。
状況を判断しているなと感じるのは上り坂での不要なシフトアップ、同じく下り坂でのシフトダウンです。アクセルを離してもそのギアのままエンジンブレーキをかけてくれます。ロックアップ機構があり、エンジンブレーキもよく効いています。
最近のCVTに較べると1速から5速までの範囲が狭いのでどうしても最終ギア(5速)の回転数が高くなります。クロスレシオなので走るという意味ではちょうど良いのですが、燃費的には悪化します。特に変速できそうな速度なのにシフトアップしないと回転が上がったままとなり燃費は悪いです。例えばそんな状況では5km/lという燃費計瞬間表示がシフトアップすることで11/km/lのようになります。因みにシフトアップ前の回転が2,200rpm、後が1,500rpmのような感じです。
そのあたりの癖を覚えると郊外では省燃費が可能です。ちょっと前ですが、二人乗りでエアコンOFF、40~70kmの郊外巡行で14km/l近い燃費を出したことがあります。多少のアップダウン有の一般道です。
ひとつだけどうしても気にくわないのが3速から2速への変速ショックです。普通に減速していくとロックアップしたままでエンジンブレーキ、2速にシフトダウンするのですが、そのタイミングで加速状態になるとかなりのショックがあります。明らかにギア系には良くないのですが、これは故障なのか癖なのかは不明です。それとも故障の前兆?
そう言いながらかなりの距離を走行していますが普通に乗っています。そういう状況にならないよう気を付けていますが一体なんなんでしょうか。
以上、エンジン、AT、足回りという観点から感想を並べてみました。
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